〈バイオリンの演奏テクニック〉
バイオリンの音階練習とアルペジオ(分散和音)
音階練習では、上の指を押えるときに下の指も押えるべきか?
バイオリンの教本の導入部分では、初心者が手の形を習得できるように、上の指(指番号が大きい指)を押える時に下の指(指番号が小さい指)も一緒におさえるように指示されています。バイオリンをはじめたばかりの頃は、特に指示がないと押える指を変えるたびに、親指や人差し指とネックの接触場所、手の形を変えてしまいたくなると思います。ですが、安定した音程がとれるようになるには、手の形、フォームを習得する必要があります。メリットとデメリットについてまとめると以下のような感じです。
下の指を押えるメリット
- 初心者が左手の形を習得できる。
- 早いパッセージを弾く時など、上の指を置いたときに下の指も置いてしまった方が有利な場合がある。
下の指を押えるデメリット
- 下の指を押さえるために少なからず力が必要なので、ビブラートをかけるときなどには特に不利になる。
手や指に力を入れすぎないように注意
音階によっては、指の配置に不自然なものがあり、手の形にストレスがかかります。手の形を保つために手と指に必要以上の力が入りすぎてしまう傾向があります。この点は、常注意するようにして、手には「必要最小限の力」しか入っていないことを確認するようにしましょう。「必要最小限の力」については、「 バイオリンの弦の押え方や左手の指の形についてよくある質問 」のQ&A3で解説していますので参考にしてください。
アルペジオ(分散和音)練習の目的と注意点
アルペジオは日本語では「分散和音」と言います。複数の音を同時に出して和音をつくるのではなく、少しだけ時間差をつけて(時間的に分散させて)、残響音を使って和音をつくりことをアルペジオ、と言います。いくつでも同時に鍵盤を叩いて和音をつくれるピアノ等と違って、バイオリンは沢山の音を同時に鳴らして和音を出すのが苦手ですので、アルペジオの役割はより重要になります。
アルペジオの練習で出てくる音の並びは、その調の主和音など奇麗な「協和音」を構成する音の組から作られています。ですので、各音の音程が3度や4度など協和音程の関係にあり、響きが奇麗で曲中にもよく出現する音列になります。この「よく出てくる音の進行」の指運びを習得する事と、その音の組合せの奇麗な響きを覚える事がアルペジオの練習の目的です。
アルペジオを練習するときは、各音の大きさや音質をそろえて弾く事に注意します。複数の弦を使って音を出す時は楽器を響かせるようにして、残響を聞きながら和音を確認するように弾きます。
バイオリン基礎練習の音階練習とアルペジオ練習のサンプルの使い方
サンプルでは音階をゆっくり弾きますので、合わせて弾いてみて自分の出している音の音程確認に利用できます。ですが、自分の出している音を聴かなくなってしまうので、合わせて弾くのはほどほどにしましょう。
音階練習の後に続けてアルペジオの練習が追加されています。はじめは音階練習だけをするようにして、だんだんとアルペジオの練習も組み合わせるようにして下さい。
携帯playerで使えるように音源だけのmp3も各調で用意してあります。
動画解説
動画解説(goo)
youtube動画と同内容です。お好みのプレーヤーでどうぞ。
補足解説
長調の音階をバイオリンで弾く時(ファーストポジション)の指板表です。
ぼんやり眺めていると指配置のイメージが頭に入ってきますでしょうか?
各調の音階譜と指板表は下の「バイオリン基礎練習」にあります。
音階練習の後にアルペジオを3連符でスラーでつなげて弾く練習です。移弦など弓運びの要素も入ってきますが、全ての音が均質に出せるように注意して練習してください。