〈左手・指の使い方・バイオリンの演奏テクニック〉
特集 ポジションチェンジの練習方法 【1の指での移動練習】
ポジション移動の練習手順を解説します。3ステップに分けます。
- 人差し指(1の指)でポジションを移動しながら音階を上がっていく練習をします。
- ポジションチェンジする前と後で押える指が変わるような場合が実際には多いですが、1の指でのポジションチェンジの動作が基本になるので、はじめに1の指でのポジションチェンジを練習します。
ステップ1 手の動きと、左指の力の入り方について確認します。
- 左手の指に力を入れすぎていてネックを必要以上に強く握ってしまっているケースが初心者に多く見られます。ネックを強く握ってしまっているとポジションを変える時になかなか力を抜くことができません。その結果、目的とするポジションにスムーズに移ることができません。
- 左手の指が弦を押える適切な力を確認します。左手の指は実音がでるのに必要なだけの力で弦を押えていればよく、それ以上の力は不要です。左手の指が弦を押える適度な強さを次の手順で確認してください。
- 指で弦を普段よりも強く押えます。そして、弓の圧力や速さは一定にしたままで音を出し続けます。
- そして、徐々に力を抜いていって音が濁ったり擦れたりして実音が出なくなる時の指が弦を押す力の大きさを確認します。
- 音が濁りだす直前の実音がでているぎりぎりの力、弓の弾きの強さに負けて音が濁らない程度の力が、指が弦を押える適度な力(必要な最小限の力)です。
- ポジション移動するときの手の動きを確認します。上記で確認した力で弦を押さえ続けて、手をそのままの形でネックに沿ってスライドさせます。手首の角度を変えたり、指の向きを変えたりしないでください。ステップ1の練習では、この指の力加減と手のスライドの動きをしっかり把握します。
ステップ2 1の指以外の2,3,4の指や手の形について確認します。
- 1の指の移動だけ正確にできても、他の指や手の形がばらばらで安定して正しい音を押えることはできません。ステップ2として、各ポジションで音階を弾いて手の形を確認します。
- ポジションを移動した後も、3の指や4の指がスムーズに弦を押えることのできる手の形になっている必要があります。
ステップ3 正しい音程を見つけてその位置に1の指を持ってくる練習です。
- ステップ1では指をスライドさせて音程を連続して上げました。次は、目指した音にスッと移って止まる練習をします。ネックにシールを貼ってポジションの目安にするのも一つの手ですが、目で場所を合わせてもなかなか十分な音程の精度が出ませんので、最終的には耳で正確な音をとらえます。
- ステップ3では、指が押える場所と音の対応を耳で確認する練習を次の手順でゆっくり行います。
- 弦を押えている指の力を抜き、実音が出なくなる程度まで指を浮かせます。
- そのまま、弦の上を指で這うようにして、次の位置まで手をスライドさせます。この時、ステップ2で練習した手の形を思い出して、手の形を変えずに維持するように注意します。実際に、弦の上を這うくらいの気持ちで指を動かした方が手の形も安定しますし、動きに無駄がなくなり素早い移動が可能になります。
- 目的とするポジションに近づいたら、這わせていた指に力を乗せて少しづつ音が聞こえるようにします。目的とする音に十分近かったらそこでしっかり弦を押えます。低めだったら押さえるポイントを高く修正します。反対に高すぎたと思ったら押えるポイントを低くずらします。
- この練習は、指で押える場所と音のイメージを合わせるためのものですのでゆっくりやります。
- この練習の最終的な目的は、一発で移動先ポジションの音を捕まえることです。適当に弦を押さえはじめて音を修正するような癖をつけないよう注意します。不必要なポルタメントがかかってしまいます。
- 正しい音の場所が大体把握できてきたら、少しづつ、上のステップ(浮かして、這わせて、押えるという一連動作)を速くする練習をします。
動画解説(前半 youtube)
動画解説(後半 youtube)
動画解説(goo)
youtube動画と同内容(前半と後半通し)です。お好みのプレーヤーでどうぞ。