〈右手と弓の使い方・バイオリンの演奏テクニック〉
移弦の基本動作と速い移弦の練習方法
前半:初めて音階を練習する人向けの「移弦の基本動作」の解説です。
- 弦を移る時には、弾く弦に合わせて肘の高さを上下させます。また、弦を移った時、弓の毛が弦に接している面の状態が変わらないように注意します。例えば、肘の上下移動を伴わずに手首だけで移弦をすると、弦を換える瞬間に弓の毛が自分の方を向いたり、向こう側を向いたりしてしまい、毛と弦の接触の仕方が変わってしまいます。そうすると、移弦の度に音質が変化してしまうので好ましくありません。動画解説で状態を確認してください。
- 弓先で移弦する時は弓中で移弦するときよりも腕の高さを大きく変える必要があります。最初は弓中で移弦する練習をしましょう。
- はじめは、一つの弦を弾き終わったら一度止まって、弦を乗り替えて、乗り換えたことを確認してから次の弦を弾く、という3つの動作をしっかりわけて練習しましょう。この動作がしっかりできてから、止まらずに移弦する練習に入ります。
後半:速い移弦・柔らかい移弦の練習手順の解説です。
- 移弦の動作を4つの要素に分けると、1.肘の高さの調整(上腕を動かす)、2.肘を中心にした肘から手首まで(前腕)の動き、3.手首の動き、4.指の曲げ伸ばし、になります。移弦の動作は、この4つの動きを適当な割合で組み合わせたものになります。
- 速い移弦が必要なほど、2.前腕、3.手首、4.指の割合が多くなります。音に柔らかさを出す時にも、指や手首の動きの割合が多くなります。
- 速い移弦をする時は、前腕と手首と指で円を書くような動きをしますが、完全に円を書くイメージを持つよりも、弦を弾いている間は弓が直線的に動く、というイメージをしっかり持って弾いた方がよいです。円を書く動作をしてしまうと、音の強弱が変に入ってしまって均質な音がつくれなくなってしまうからです。
- 移弦にスラーを混ぜて練習するとよいです。はじめは、2音をスラー、次に、4音をスラー、というように少しづつ増やしていきます。
動画解説
前半:初めて音階を練習する人向けの「移弦の基本動作」の解説
後半:速い移弦・柔らかい移弦の練習手順の解説
補足解説
移弦した時に、「弓をこねる」動作にならないよう注意しましょう。
手首だけで移弦すると、弓が回ってしまい、弓の毛が自分方向を向きすぎたり、反対に向こう側に向いてしまったりします。これを、ローリング、と言ったり、弓をこねる、と言ったりします。意図してやっているのでなければ音質がぶれてしまうので推奨されない動作です。
移弦の基本練習用楽譜(メリーさんの羊)
はじめはゆっくり、弦を換える時は、一度止まって弦の乗り換えを確認してから弾きはじめす。
スラーを入れた移弦の練習用楽譜 その1
移弦が必要な2つの音をスラーでつないで弾きます。右手は8の字を書くような動作をイメージするとよいでしょう。
スラーを入れた移弦の練習用楽譜
その2
つなぐ音を4つに増やします。弓を使う量が増えてきますので、肘の高さの調整も徐々に必要になってきます。