〈左手・指の使い方・バイオリンの演奏テクニック〉
ポジションチェンジの方法
左手の親指と人差し指のネックに対する位置を各ポジションにおいて確認しましょう。
- 第一ポジションから第三ポジションまでは、左手の形は、ネックを親指と人差し指の付け根付近が触れるようになっています。各ポジションにおける手の位置を確認するために、このネックと触れる感覚をしっかり覚えておきます。ここは慣れがかなり必要です。
- バイオリンの初心者の方にとっては、親指と人差し指のネックとの接触面は、第一ポジションも第三ポジションも大して違いは無いと感じられると思います。第三ポジションでは、手の平の一部をバイオリン本体に触れることで多少なりともポジションの感覚がつかみ易くなりますが、微妙な感触であることには変わりないと思います。しかし、バイオリン演奏者は皆、このわずかな感触を頼りに正確なポジションを確保しています。がんばりましょう。
第四ポジション以上のハイポジションでは人差し指はネックから離れます。手の位置を確認しましょう。
- 第四ポジション以上になると、ネックから人差し指を離さないと弦を押さえられなくなります。人差し指のかわりに、手の平の一部がバイオリンの本体に触れるようになるので、このバイオリン本体と掌との接触を、ポジション確保に利用します。
ポジションチェンジでは、ネックを握らず、手と腕全体で移動します。
- 左手でネックを握ってしまっていたり、弦を指板に押さえつけたままでは、ネックに沿って手を移動させることはできません。左手の力を抜きましょう。
- ポジションチェンジするときは、左手と下腕全体を移動させます。ポジションチェンジの練習をする時は、移動動作の順番として、弦を押さえている指はずれないようにしておきながら、親指を先に移動先ポジションの方へ持っていくようにするとよいでしょう。慣れてきたら、手全体をスッと移動するようにしましょう。重要な点は、移動前も移動後も、手の甲から手首、腕まではほぼ真っすぐな状態にあるようにします。
補助音符（中間音符）を考えてポジションチェンジを練習するとよいでしょう。
- ポジション移動後の音程を確かなものにするために、楽譜には存在していない補助音符を考えてポジション移動するとよいでしょう。たとえば、移動先で2の指を押さえる場合、まず、移動先のポジションに手を移動させて１の指の場所を確認（１の指を押さえてもよい）してから、2の指を押さえるようにします。
- この方法は、ポジションチェンジの動作を、まず、手全体のポジションを確認する動作をして、次に、目的の音を指で押さえるという二段階の動作に分けて実行しているのです。
動画解説
補足解説
ポジションチェンジの動作を、ポジションの確認と、目的とする音の弦を押さえる動作に分けて実行する際、左図のような補助音符（中間音符）を考えます。
まずサードポジションに移って場所を確認してから、２の指（ミ）を押さえます。
補助音符（中間音符）は「 特集・ポジションチェンジの練習方法２【指の変更がある移動練習】 」で詳しく解説しています。
ポジションチェンジは第三ポジション（サードポジション）の移動から練習をはじめる場合が多いと思います。
第三ポジションを安定してとらえる為にしばしば指導されることが、手の平の一部をバイオリン本体に接触させてポジションを確認する、という事です。
左の写真では、手の平の下の方がバイオリン本体に触れています。人によっては、手首を少し曲げ（手の甲が糸巻きの方へ倒れる方向）ないと、掌がバイオリン本体に触れないかもしれません。
掌の下の方が少し赤くなっているので、ここがバイオリンに触れている場所であることが分かります。
ただし、この場所は、手の大きさの個人差や、どの線を押さえるか（左の写真の場合はD線）等によって当然変わりますので、自分の場合どのようになるかを確認する必要があります。
この解説動画では、ポジションチェンジする時に、親指を先に移動先方向に動かすように解説しました。一方、移動練習の特集の動画「 特集・ポジション移動の練習方法 」では、親指は他の指（手全体）と同時にポジションを移動させています。
バイオリン教本（あたらしいバイオリン教本など）によっては、親指を先行して移動することを勧めています。しかし、移動時に手の形が変わってしまうので良くない、と解説する向きもあります。はじめて学ぶ方は混乱すると思いますが、「親指を先に移動させる」事の目的は、親指の力を抜いて先に動かし、「ネックを握っている指の力を抜く事」ですので、どちらでも自分にあったスタイルで良いかと思います。
実際に演奏する際は、親指と手を同時に移動させる演奏者が多数派だと思います。親指を先に動かしても、次のポジションには届かない場合が多く、無駄な動きになってしまうからです。