〈左手・指の使い方・バイオリンの演奏テクニック〉
特集・ビブラート[補足解説2]
ビブラートの弾き方
ビブラートは正しい基準となる音から音を少し下げて元に戻す振動の連続です。
- バイオリンのビブラートは、基本的には、正しい音(基準となる音)から下方向に音をわずかに一瞬だけ下げて戻す運動の繰り返しです。
- バイオリンでビブラートをかける際の指先の動きは、基準となる音を押さえている時に指先で弦をしっかり押さえ(ビブラートなしで弦を押さえている指の形と同じです)、低音方向に一瞬音を下げる時に指腹で弦を押すようになります。この時、弦の上を指が滑ってズリ動かないようにしっかり弦を押さえる必要があります。
- 手を振動させるわけですので、実際には反動で基準の音よりも上側にも音が振れます。しかし、練習する時の心構えとしては、基準となる音より上方向への振動は行わないように意識して注意している方が正しいビブラートを習得できるようになります。
人差し指、中指、薬指、小指のビブラート、どの指でビブラートする場合でも手首から手の甲にかけての運動は同じです。
- 手の甲を手首から低音域側に倒して音を震わせるという基本的な手の運動は、人差し指、中指、薬指、小指のどの指でビブラートをかける場合でも変わりません。ビブラートをかける指によって手の形や位置が変わってしまってはいけません。正しい音程を確保する事がむずかしくなってしまいます。
- 小指は小さく短いので力を乗せるのがなかなか難しい指です。特に手が小さい女性の方ですとその傾向が強いです。どうしても小指でのビブラートが難しい場合は、薬指も一緒に添えてガイド役としてビブラートさせてみましょう。
動画解説(前半 youtube)
動画解説(後半 youtube)
動画解説(goo)
youtubeにアップしている動画と同じ内容ですが、前半と後半通して入ってます。
補足解説
力の弱い小指でビブラートをかける時、どうしても、力が乗らない場合は、薬指を一緒にビブラートさせることで小指の運動がサポートできます。
もちろん、基本はサポートなしで弾ける事が重要です。
動きは動画で確認してください。
基準となる音を押さえている時は、通常と同じく指先で弦を押さえ、手首から腕はほぼ真っすくになります。
ビブラートするときに、手首から低音側に手の甲を倒すので、指場伸び気味になって、指腹で弦を押さえる格好になります。
手の甲と指板の位置関係は、ビブラートかけて演奏するときでもビブラートなしで演奏するときでも変わりません。指板の方向に対して、手の甲は少し斜めになっている状態です。
側面から見ても、手の甲は指板に対して斜めになっているのが正しい位置関係です。
しばしばみられる悪いビブラートの例です。手首を高音域側にも低音域側にも揺らそうとして、写真のように、手の平を側面に向けすぎて扇型にあおってしまうのは間違いです。
このようになってしまっている場合、指の関節がとても硬くなって力づくで音を揺らしていることになります。音色の悪い細かいビブラートしかできないばかりか、音程まで悪くなってしまいます。
このような悪い例では、正しい時に比べて、手の甲が指板に対して平行に近い関係になっています。
音を高音域側にも揺らすために、指を指板により直角に近い角度で押さえようとしているためだと考えられます。しかし、これは間違いです。
側面からみると、手の甲が側面を向きすぎています。