〈左手・指の使い方・バイオリンの演奏テクニック〉
「安定した左手ができている」とはどういうこと?・速いパッセージの練習方法
「速いパッセージになるとどうしてもリズムを守って弾くことができない、どのような練習をしたらよいか?」という質問をしばしばいただきます。速いパッセージの練習に入る前に、「左手ができている」かどうかを確認しましょう。よくあるのは、左手が不安定な状態でなんとかテンポについていこうとするので、リズムが崩れてしまうというものです。
「安定した左手の形ができている」とはどういうことか?
- 「左手ができている」とは、指板に対する手の甲の位置関係(手の甲の角度、あおり、高さ)を変えずに、1、2,3,4の指を押えることができる状態になっている、ということです。
- よくある悪い例は、人差し指(1の指)で弦を押さえる時、手の平が開いてしまう。小指(4の指)を押さえる時、手全体がネックに対して沈みこんでしまう。小指を丸くする為に手の平を指板に寄せすぎて指板と左手の平が平行になりすぎる。等ですが、このように押さえる指によって、指板と手の平の位置関係が変わってしまうと、左手がパタパタしてしまいます。
- パタパタした不安定な左手で運指すると、不要な動作が入ってくるので速いパッセージが弾けなくなりますし、動きが不要に大きいので音程を外してしまうことも多くなります。
動画解説
補足解説
まず全体の速度を落として、指の運びを確認します。ここでは、クロイツェルのエチュードから9番を例に取り上げます。冒頭の16分音符が並んでいる箇所です。
運指が確認できたら、テンポを上げていくのですが、ここでリズムを変えて練習します。
例えば16分音符が並んでいる箇所でしたら、譜点を入れていって、元の速度よりも速い部分と遅い部分をつくります。こうすることで、元の指の動きより遅い箇所と速い箇所ができますが、元の速度より速い部分で、指を動かす筋が鍛えられるわけです。
次に、鍛える場所を変えるために、譜点を入れる箇所を変えて、別のリズムで練習します。
この例では、一つ前で鍛えた場所をちょうど補う関係になるようにリズムを変えています。
適切な左手の場所の見つけ方は、 バイオリンの弦の押え方や左手の指の形についてよくある質問 も参考にして下さい。
人それぞれに手の形が違いますので、自分なりの安定した手の位置を探すようにしましょう。