"できるだけファーストポジションで弾く"パッヘルベルのカノン 演奏のポイント
★上手に聞こえるアンサンブルのポイントは、相手の音を良く聞いて、主従関係をはっきりさせることです。
パッヘルベルのカノンは3台のバイオリンとチェロ、チェンバロのアンサンブルが基本です。アンサンブルでは通常、主役と脇役が入れ換わりながら演奏を組み立てていきます。今、誰が主役なのかを配慮して音を抑えるべきところは抑えて、がんばるところはしっかり主張して演奏するようにします。そのためにも、相手の音を良く聞くということが大事になります。
★古典音楽のバイオリン演奏はあっさり目に弾いてみましょう。
パッヘルベルの時代は古典音楽に分類され、バイオリンの演奏方法も今のそれとは大分異なっています。ここでは、古典音楽の弾き方の味を残した演奏方法解説します。昨今良く耳にするカノンよりも、あっさり、さっぱりとしている印象です。昔と今の楽器そのものも違いますので忠実に演奏することはできませんが、十分に楽しめると思います。もちろん、この曲をどのように弾くかは演奏者の自由ですので、しっとりとメランコリーに演奏する事も可です。
★出だしを急がずにテンポを守って弾きましょう。
(第一バイオリンの場合)19小節目から22小節目の最も有名な旋律部分が32分音符ですので、速すぎて弾けなくならないように、曲の出だし3小節目から6小節目(第一バイオリンの場合)の4分音符の部分をテンポを守ってゆっくり目に弾きましょう。
★二長調の音階練習をしてから練習をしましょう。
アンサンブルを楽しめるようにオリジナルと同じ二長調で演奏する際のポイントを解説します。二長調音階の練習してから練習をはじめましょう。ニ長調音階の練習(D-Dur/D-Major)を参考にしてください。
パッヘルベルのカノン楽譜
バイオリン練習用レッスン動画
第一バイオリン(1小節目〜26小節目)解説 前半(youtube)
第一バイオリン(1小節目〜26小節目)解説 後半(youtube)
補足解説
開放弦の音をそれ以外の音と同じような音色にすることはなかなか難しい右手のテクニックを必要とします。ですので、出来るだけ4の指を使った音を出すと良いでしょう。
アンサンブルでは、他の楽器と音色を合わせた方がハーモニーが美しく聞こえますので、基本的には開放弦は避けた方がよいです。開放弦を使う場合は、弓圧を控えめにしたり、弓を倒して弓の毛を少なくする等して、開放弦の音だけが目立たないようにすると良いでしょう。
解説動画では、この部分でセカンドポジションへ移動して、3の指でトリルをする方法を説明しています。開放弦の音の間にポジション移動ができるのでやり易いと思いますが、まだポジション移動が難しいと感じている場合は、ファーストポジションのままで4の指でトリルしても良いです。
トリル、まして4の指でトリルは難しいという場合は、トリル無しでも可です。
11小節目から14小節目の間は、いそがずに音の粒をそろえるようにします。特に、11小節目と12小節目はファーストバイオリンが主役ですので、はっきりとクレッシェンドさせるようにします。
11小節目の赤く○をしたドのシャープは音程が低くなりがちです。腕をしっかり内側に入れないとG線の高い場所は届きにくいので気をつけましょう。
13小節目と14小節目は、第二バイオリンがメインになりますので、第一バイオリンは音を少し抑えて、第二バイオリンを良く聞くようにしましょう。
ここは音域としてサードポジションを使わないといけません。幸い、ポジションチェンジの直前に休符があったり、前の音がスタッカートなので、ポジションチェンジを余裕を持ってすることができます。
ポジションチェンジの練習については、下の関連練習項目にリストしたページに解説がありますので、参考にしてください。
弓元まで使わずに、弓先と弓中までの弓3分の2を使って軽めに弾きます。
細かい音が続きますが、赤丸をつけた拍の頭に当たる音をしっかりと弾くと、アンサンブルをしていてもメロディが分かり易くなります。
21小節目からは、セカンドバイオリンが主役になりますので、ファーストバイオリンはセカンドの音を良く聞いて少しを音を抑えて演奏するときれいにアンサンブルが聞こえます。